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ユーザーの視線の動きを計測し分析するアイトラッキング(視線計測)技術。株式会社NeUでは、ユーザビリティ評価や広告クリエイティブ改善など、ニューロマーケティング領域で脳活動との同時計測ソリューションを提供しています。今回はそのアイトラッキング技術について、改めてご紹介します。
アイトラッキングとは?活用される分野や研究内容について
アイトラッキングとは、ヒトの眼球運動を分析し、視覚的注意などを明らかにする生体計測手法です。ヒトの視線の場所(注視点)や動きを、アイトラッカーと呼ばれる専門の機械で計測。取得したデータを分析し、よく見られていた場所や、見る順序、反対に全く見られていなかった場所などを明らかにします。
心理学や認知科学などの学術領域のほか、マーケティング領域、観光分野、医療・教育・スポーツの研究など、さまざまな分野で利活用されているほか、近年ではVR空間内での計測やAIによる視線推定などの研究も盛んに行われており、今後も成長が期待されている技術です。
近年、脳科学の研究において、アイトラッキングをはじめとした生体計測と脳計測を同時に行うことが重要視されてきています。しかし、アイトラッカーが計測に使用している近赤外光と脳計測機器との干渉によるノイズが、同時計測時の大きな課題となっていました。
NeUでは、相互の近赤外光の干渉を抑える方法を研究・開発し、視線と脳活動の同時計測を実現しています。
アイトラッキングでわかること
一般的には、視線の停留時間を視覚化したヒートマップや、視線の動きを順序で表したゲイズプロットなどが、アウトプットとして見られます。
NeUでは上記に加えて、瞬目(まばたき)を利用した集中度評価や瞳孔径の測定による注目度の判定、脳活動との組み合わせによる興味関心・記憶への残りやすさのスコア化など、先行研究(e.g., [1], [2])をベースとした多彩な計測を実施しています。
引用文献
[1] Courtemanche, F., Léger, P. M., Dufresne, A., Fredette, M., Labonté-Lemoyne, É., & Sénécal, S. (2018). Physiological heatmaps: A tool for visualizing users’ emotional reactions. Multimedia Tools and Applications, 77(9), 11547–11574.
https://doi.org/10.1007/s11042-017-5091-1
[2] Blascheck, T., Kurzhals, K., Raschke, M., Burch, M., Weiskopf, D., & Ertl, T. (2017). Visualization of eye tracking data: A taxonomy and survey. Computer Graphics Forum, 36(8), 260–284. https://doi.org/10.1111/cgf.13079
アイトラッキング+脳活動のメリット
「脳活動が高いときに注視していたものが、記憶に残りやすい」ということが、先行研究により明らかになっています (e.g., [1])。これは視覚課題を行った際の視線と脳活動の同時計測実験により、「注視回数が多く、脳活動が高い場合、記憶再認率が最大」となることが発見されたものです。
引用文献
[1] Obata, A.N., Katura, T., Atsumori, H., & Kiguchi, M. (2013). Evaluating the attention devoted to memory storage using simultaneous measurement of the brain activity and eye movements. In: Stephanidis C. (Ed.), HCI International 2013 – Posters’ Extended Abstracts. HCI 2013. Communications in Computer and Information Science, vol 373. Springer, Berlin, Heidelberg.
https://doi.org/10.1007/978-3-642-39473-7_89
アイトラッキング×脳活動計測の活用方法と事例
■CM・動画コンテンツ評価
興味関心度が高いシーンや、記憶に残りやすいシーンを抽出。クリエイティブの評価・改善に役立てています。
■棚レイアウト評価・店舗評価
商品棚の並べ方、店頭POPの優劣・有無の評価などを行っています。商品の売上と合わせて検証した実績もございます。
■商品パッケージ評価
新商品やリニューアル商品のパッケージを分析し、記憶に残るポイントや印象の評価を行っています。競合商品との比較も可能です。
その他、Webサイトのユーザビリティ評価、車のインテリア・エクステリアの印象評価など、視線+脳活動によるさまざまな調査を行っています。
アイトラッキングの研究論文や調査方法のご紹介
アイトラッキングを理解する上で参考となる、レビュー論文をご紹介します。
・Duchowski, A. (2007). Eye tracking methodology: Theory and practice (2nd ed.). Springer.
https://www.amazon.com/Eye-Tracking-Methodology-Theory-Practice/dp/1846286085
アイトラッキングの理論的背景と応用例を数多く紹介している書籍で、視覚認知・注意の神経基盤や脳機能イメージングとの同時計測についても触れられています。
・Peysakhovich, V., Dehais, F., & Duchowski, A. T. (2018). Why is eye tracking an essential part of neuroergonomics? In H. Ayaz & F. Dehais (Eds.), Neuroergonomics: The brain at work and in everyday life (pp. 27–30). Elsevier.
https://doi.org/10.1016/B978-0-12-811926-6.00004-X
人と機械のインタラクションを研究する人間工学に脳科学的な理論・方法論を統合した新たな学術分野である神経人間工学 (neuroergonomics)の研究において、アイトラッキングがいかに重要な生体計測データであるかを論じています。
・Duerrschmid, K., & Danner, L. (2018). Eye tracking in consumer research. In G. Ares & P. Varela (Eds.), Methods in Consumer Research, Volume 2: Alternative Approaches and Special Applications (pp. 279–318). Elsevier.
https://doi.org/10.1016/B978-0-08-101743-2.00012-1
アイトラッキングが利用されている様々な分野の中でも、特に消費者研究に特化して、いかにアイトラッキングが利用されてきたかを過去の研究を概観し紹介しています。
・Scott, N., Zhang, R., Le, D., & Moyle, B. (2017). A review of eye-tracking research in tourism. Current Issues in Tourism, 22(10), 1244–1261.
https://doi.org/10.1080/13683500.2017.1367367
観光分野での研究でアイトラッキングがどのように利用されているか過去の研究を概観しています。
NeUでは、検証の目的に合わせたさまざまなアイトラッカー(視線計測装置)による計測の実施が可能です。
まとめ ーNeUが考えるアイトラッキングの将来性ー
アイトラッキングは、脳活動との同時計測により、さらなる多面的な考察結果を得ることで、デザインや店舗レイアウトの評価、広告クリエイティブ・UIの改善などに大いに役立てることが可能です。
また、VR空間など新たな領域への応用も盛んに研究されています。
アイトラッキングを用いたニューロマーケティングに興味をお持ちいただけましたら、ぜひお問い合わせください。