ニーズとウォンツの違いとは?今注目されているニューロマーケティングも併せて解説

2023.05.15
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ビジネスを行なううえでは、顧客ニーズをつかむことが重要といわれます。この「ニーズ」という言葉は一般的にもよく用いられますが、マーケティング担当者としては、併せて「ウォンツ」の意味も理解しておくことが必要です。

この記事では、ニーズとウォンツの違いをわかりやすく解説し、それらに関連して現在注目を集めている「ニューロマーケティング」の重要性についても取り上げます。

ニーズとウォンツの違いとは


ニーズとウォンツの違いは、「目的」か「手段」かという点です。ニーズは欲求を満たしたいという目的であるのに対して、ウォンツはその欲求を満たすための手段を表します。

ニーズとは欲求が満たされていない状態のこと

ニーズとは「お腹が空いているから何か食べたい」「最近体が疲れているからリフレッシュしたい」といった、何らかの欲求が満たされていない状態であり、解決すべき目的でもあります。

ニーズには「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」の2種類があり、商材を提案する際には顕在ニーズだけでなく潜在ニーズも把握したうえで訴求することが重要です。

顕在ニーズ:顧客が認識しているニーズ
潜在ニーズ:顧客が認識していない無自覚のニーズ

顧客の状況をしっかりと確認し、潜在ニーズを掘り起こすことができれば、新たなニーズを生み出せます。顕在ニーズにしっかりと応えるだけでなく、潜在ニーズも把握して対応するためには、ウォンツへの理解が欠かせません。

ウォンツはニーズを満たす具体的な欲求のこと

ウォンツは「お腹が空いているからハンバーガーが食べたい」「疲れているから温泉でリフレッシュしたい」などのニーズを満たす具体的な欲求・手段です。

顧客の「何か食べたい」という顕在ニーズに、「ハンバーガーが食べたい」という潜在ニーズが隠れていることもあります。

この場合、「何か食べたい」というニーズに対して「ピザ」というウォンツを提供しても、潜在ニーズとは一致していません。そのため、ニーズを満たしているにもかかわらず、顧客に選ばれないことが考えられます。

顧客の潜在ニーズを把握し、ウォンツに沿ったものを提供することが重要です。

なお、ウォンツには3種類があります。それぞれの違いを理解したうえで、顧客のニーズを満たすことが必要です。

・基本ウォンツ:ニーズを満たすための具体的な欲求
・条件ウォンツ:基本ウォンツを満たしつつ、より適した内容になるための条件が付いた欲求
・期待ウォンツ:知識や過去の経験をもとに、満たされることが期待されるウォンツ

ウォンツからニーズを見極める方法


ニーズとウォンツには深い関係があり、顧客が持つ真のニーズを満たすためにはウォンツからニーズを見極めることが重要です。ここでは、その方法を見ていきましょう。

ウォンツからニーズを推測をする

顧客は、必ずしもウォンツの背後にあるニーズを言葉に表すわけではないため、ウォンツからの推測が必要になります。

例えば、調理器具を扱う店に「よく切れるナイフが欲しい」というお客様が来たとしましょう。このウォンツからは、食材を切ったり削いだりしたいというニーズが推測可能です。

お客様が店に並んだナイフのなかで気に入ったものがなかったとしても、ニーズを推測することで、キッチンばさみや皮むき器を案内することができるかもしれません。

あるいは、今使っているナイフの切れ味が悪くなったという可能性に思い至れば、包丁研ぎ器をおすすめすることも可能です。

なぜ「ウォンツ」が必要なのかを聞く

より深く顧客のニーズを理解するためには、なぜそのウォンツを必要としているのかを確認することが大事です。ウォンツからニーズを推測することが難しい場合でも、ウォンツが必要な理由を聞くことでニーズを把握できます。

「ナイフが欲しい」というウォンツに対して、「どのようにお使いですか?」と質問することで「野菜をカットしたい」「料理好きの友人にプレゼントしたい」などのニーズが返ってくるでしょう。

プレゼントの場合、ブランドや価格帯、その友人の手のサイズなどによって、提案すべき商品は変わります。「友人に喜んでもらう」という最終的なニーズを満足させるためには、いろいろな情報が必要となるでしょう。

推測しただけでは間違っている可能性もあるため、「なぜウォンツが必要なのか」を顧客に聞くことで、的確にニーズを把握できます。

「ウォンツ」が必要な理由を掘り下げる

ウォンツが必要な理由をさらに掘り下げると、顧客の潜在ニーズを見つけられることがあるでしょう。

マーケティング分野における、有名な理論の一つとして挙げられるのが 「レビットのドリルの穴理論」です。これは「ドリルを買いに来た人が求めているのは、ドリルではなく“穴”である」というものです。

顧客のニーズは「ドリルを買いたい」というウォンツとして顕在しています。ただし、潜在ニーズは「壁などに穴を開けたい」ということであるため、必ずしもドリルそのものが欲しいわけではないと考えられます。

ここまで、一般的なニーズとウォンツの解説を行ってきました。ドリルの例のようなわかりやすい顕在ニーズであれば、顧客の具体的なウォンツは明白で判断もしやすいと思います。しかし、マーケティングの現場でユーザーの潜在ニーズをしっかりと把握し、適切なウォンツを提供することは簡単ではありません。
なぜならば、現代社会にはモノ・情報があふれ、常に多数のなかから取捨選択が必要です。このような状況のなかで、顧客は自分自身でも真のニーズを把握できていないことが少なくないからです。

これら潜在ニーズを分析する科学的手法として、ニューロマーケティングの活用が今注目を集めています。

ニューロマーケティングとは


ニューロマーケティングとは、脳科学の分野をマーケティングに活かす手法です。

具体的な手法としては、「脳計測」や「アイトラッキング」などの生体計測技術の活用が挙げられます。偽ることのできないヒトの無意識的・直感的な反応を計測し数値化することで、ターゲットの潜在ニーズを把握・分析できると考えられています。

ニューロマーケティングが注目されている理由

ニューロマーケティングが注目される理由としては、おもに次の2つが挙げられます。

・言語化することが難しい感覚的な違い(感性)を客観化・定量化できる
・従来の主観調査では捉えられなかった無意識的な反応(本音)を測定できる

「顧客の声」として、従来の主観調査ではアンケートやインタビューなどが用いられてきましたが、これらの結果は必ずしも本音を反映したものであるとは言い切れません。たとえば人間の購買意思決定の95%は無意識のうちに行われるとも言われており、顕在的な意識に表れてくる言語化された部分は、ほんのわずかです。

しかし、ニューロマーケティングを用い、言語化が難しい感覚や無意識的な反応を数値化することで、顧客の潜在ニーズを引き出せる可能性があります。
また、従来の主観アンケートと組み合わせることで、よりマーケティングの予測精度が高められることも知られています。

これまで、顧客の潜在ニーズを把握・分析するためにはマーケターの経験や勘、そして膨大な工数が必要でした。しかし、ニューロマーケティングを活用すれば、科学的なアプローチによって顧客の無意識的な好みや感覚について可視化していくことが可能です。

ニューロマーケティングは、より客観的かつ効果的に潜在ニーズを引き出すための手段として、商品開発や広告宣伝などに役立てられています。

実際の活用事例など、ニューロマーケティングについてより詳しく知りたい方は、下記リンクも合わせてご覧ください。

企業向けコンサルティングサービス ニューロマーケティング・感性評価―NeU

まとめ

ニーズとウォンツは、顧客が求める「目的」か「手段」かという点で違います。顧客の欲求が満たされていない状態がニーズであり、ニーズを満たすための具体的な欲求・手段がウォンツです。ニーズには「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」があり、顧客が認識していない潜在ニーズを引き出すためには、ウォンツを掘り下げて見極める必要があります。

また、近年では脳科学の分野をマーケティングに活かす試みが活発化しています。そこで、短時間かつ効果的に潜在ニーズを引き出せるとして、注目されているのが「ニューロマーケティング」です。

顧客のニーズとウォンツをしっかりと把握するためにも、ニューロマーケティングの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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