脳波とは?ブレインテックの分野でも使われる脳波について簡単にわかりやすく解説

2023.07.25
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ニューロンのイメージ
脳波(のうは)という言葉自体は聞いたことがあっても、「どのようなものか詳しくはわからない」という方は多いのではないでしょうか。

近年注目を集めている「ブレインテック」の分野においても、脳波の存在は非常に大きなものです。

そこでこの記事では、脳波の種類や歴史といった基本的な知識とともに、脳波に関する今後の市場動向とブレインテックについて解説します。

脳波とは?

脳波のイメージ
脳波は、脳が活動する際に発生する非常に微弱な電気信号です。
この信号を脳波計という装置により100万倍に増幅することで記録していきます。

これまでの数々の研究により、脳波にはいくつかの種類があることや、その発生原理が解明されてきました。

脳波は4つの種類に分けられる

脳波の種類としては、周波数が大きい順に以下のように分けられます。

 

  • β(ベータ)波:14~30Hz
  • α(アルファ)波:8~13Hz
  • θ(シータ)波:4~7Hz
  • δ(デルタ)波:4Hz未満

 

ベータ波は覚醒状態(通常時)や集中時、緊張時に出ている脳波であり、アルファ波はリラックス時や目を閉じている状態で出力され、目を開いて精神活動すると抑制されます。

そして、シータ波は眠気があるときや深い瞑想状態にあるとき、デルタ波は徐波睡眠時に出力される脳波です。

脳波が発生する原理

人間の脳には多くの神経細胞(ニューロン)があり、目や耳などの感覚器官から刺激を受け取った際に活動電位を発生させ、電気信号で他のニューロンへと情報伝達します。

このように、ニューロンが活動電位の生成や電気信号の伝達をすることにより、脳波が発生するという仕組みです。

ニューロンは人間の脳におよそ1,000億個もあるといわれており、それぞれがつながって複雑にニューロンネットワークを形成しています。

前述したように、就寝時にもデルタ波などの脳波が出力されており、ニューロンは人間が生きている限り絶え間なく活動し続けています。

脳波の歴史について

脳と時計のイメージ
脳波は、1875年にイギリスの科学者であるケイトンによって発見され、ネコ・サル・ウサギなどの動物の脳に電気活動があると報告しています。

1924年にはドイツの精神科医であるハンス・ベルガーが人間の脳での電気活動を記録し、1929年に論文を発表しましたが、当時は受け入れられませんでした。

その後、1933年にイギリスの生理学者であるエドガー・エイドリアンの追試実験によって確認されたことで、ベルガーの発見は受け入れられるようになったのです。

日本で最初に脳波の研究に取りかかったのは東北大学で、1935年に同大学の工学部助教授である松平正壽によって脳波の増幅器が試作されています。

その後、北海道帝国大学や東京帝国大学でも脳波計の試作・研究が開始されました。

世界初の脳波計はドイツの技術者であるトニーが1932年に開発し、アメリカでも1936年に技術者のグラスによって開発が進められました。

当時は真空管を用いて紙にインクで記録するという脳波計を利用していましたが、1990年ごろからデジタル化が進み、2000年代以降はデジタル脳波計が主流になっています。

脳波が見えると何がわかる?

活発な脳のイメージ
脳波は、筋電図や心電図などと同じく疾患特有の波形を示すことから、おもに医療分野で参考データとして使われています。

例えば「てんかん」の診断です。
てんかんの症状というと、ひきつけを起こす印象があるかもしれませんが、突然変な言葉を発する、ぼんやりとしていることが増えるなど、その他の疾患と区別が付きにくいこともあります。

その際に、脳波を調べることで異常を発見し、適切な治療を行うことが可能です。
その他、脳における感染症や腫瘍の有無の判断、睡眠障害の検査などにも脳波が用いられます。

また、脳波が用いられているのは、医療分野だけはありません。IT技術と組み合わせてマーケティングに用いるなど、幅広い分野で活用が進められています。

脳波を活かした市場は拡大傾向にある

医療技術のイメージ
前述のとおり、脳波は医療分野だけでなくさまざまな分野で活用が進められており、その市場規模は拡大傾向にあります。

例えば、株式会社グローバルインフォメーションが公開している資料によると、脳波測定装置の世界市場規模は、2028年に18億米ドルにまで達するといわれています。

また、脳波の活用分野に関しては、近年注目されている「ブレインテック」も見逃せません。

ブレインテックとは、「ブレイン(脳)」と「テクノロジー(技術)」を組み合わせた造語で、脳科学を活用したテクノロジーやサービスを表すものです。

一例を挙げると、睡眠時の脳波を測定して睡眠の深さを特定し、より深い睡眠へ誘導する音を流すようなヘルスケア商品が開発・販売されています。

まとめ

脳波とは、脳が活動する際に発生する波のような微弱な電気信号です。周波数によって、アルファ波・ベータ波・シータ波・デルタ波の4種類に大きく分かれます。

脳波は、およそ1,000億個あるニューロンによって活動電位が生成され、電気信号が伝達して発生するものです。人間の脳に電気活動があることがわかり脳波が発見され、1900年代には広く認知されるようになりました。

これまでは、おもに医療分野で活用されてきましたが、近年ではIT技術と組み合わせた「ブレインテック」として、さまざまな分野で活用されるようになっています。

脳波を活かした市場は世界規模で拡大傾向にあり、今後さらにその重要性が増すと考えられるでしょう。

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