インサイトと顕在ニーズ・潜在ニーズの違いとは?インサイト分析にニューロマーケティングが最適な理由

2023.11.06
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インサイトのイメージ
企業がマーケティングリサーチを実施する理由の一つとして、消費者のインサイトを探ることが挙げられますが、インサイトとは一体何を意味するのでしょうか。

この記事では、インサイトについてだけではなく、混同されやすいインサイトとニーズの違い、インサイトの分析方法などについて詳しく解説します。

インサイトと顕在ニーズ・潜在ニーズとの違い

needと書かれた積み木
インサイトとは、消費者の心の奥にある隠れた購買動機のことを指します。日本語にすると発見や洞察、直感です。
ビジネスにおいては、消費者が商品やサービスを購入した際、なぜその商品やサービスを選んだのか、その真意を見抜く意味で用いられます。

インサイトについて考えるうえで重要なポイントは、消費者自身も自らのインサイトに気付いていない、ということです。
そのため企業は、さまざまなデータや意見を参考にしてインサイトを見つけ出す必要があります。

顕在ニーズとは顕在化している欲求のこと

ニーズもインサイトと同様に消費者が求めているものを意味します。しかし、ニーズとインサイトは別のものです。

なぜなら、多くの場合、消費者自身が自ら持つニーズに気付いているからです。
このように表面に現れているニーズを顕在(見えている)ニーズと呼びます。

顕在ニーズは、インタビューやヒアリングのような調査で比較的見つけやすいものです 。
しかし、顕在ニーズを基にした市場は、消費者の動向を把握しやすいことから競合が多く、新規での参入が困難である傾向があります。

潜在ニーズとは顕在化していない欲求のこと

潜在ニーズは、消費者自身も自覚していない、表面に現れていないニーズのことを指します。

具体的には、何らかの不満や欲求はあるものの、何が欲しいかが自分自身では言語化できていない状態です。つまり深層意識下に確固として存在するニーズといえます。
インサイトもそれに近いものですが、多くの場合インサイトは消費者自身が認識すらできていない無意識の欲求のことをいいます。

インサイトが注目されている理由

ショッピングをするミニチュアの人形
そもそもなぜインサイトがそれほど重要なのか、よくわからないという方もいるでしょう。なぜニーズを満たすだけでは不十分で、インサイトに注目する必要があるのでしょうか。

その理由としては、高品質で手頃な価格の商品やサービスが現在では当たり前になり、何を選んでもそれなりの満足度が得られやすいことから、一筋縄ではモノが売れない時代となっていることが挙げられます。
このような時代には、ただ顕在ニーズや潜在ニーズを満たしただけの商品では、競合と差別化し、消費者を満足させることがどんどんと難しくなっていきます。
そこで消費者のインサイトに着目すると、今までになかった市場の創出やサービスの開発が期待できます。

これからの時代、企業は消費者が真に求めている欲求=インサイトを理解することで、消費者の需要を見つけ出すのではなく、新たに創り出すことが求められているといえるのではないでしょうか。

インサイトの分析は非常に困難

消費者に意識されず言語化もされていないインサイトは、従来のアンケート結果などからだけでは見抜くことが困難です。なぜならば消費者をいくら深掘りしても、彼ら自身が問いも答えも持っていないためです。

インサイトは潜在ニーズよりももっと奥底にある、消費者自身さえも気付いていない欲求です。それを知るためには、単純にデータを解析する能力だけでなく、解析したデータを洞察する能力やセンスが必要になります。

特定の視点だけにこだわるのではなく、「起こった物事に対する原因」 「人の普遍的な欲求」 「データから読み取れる矛盾の裏にあるもの」 などさまざまな観点からデータを考察しましょう。

インサイトの分析方法

インタビューのイメージ
ここからは、どのような分析を行なえばインサイトを発見できるのか、主なものをいくつか紹介します。

SNS調査

SNSは消費者の率直な意見が出やすいといわれています。
そのため、SNSに投稿された内容を分析することは、インサイトを見つけるための手がかりとなるでしょう。

この調査におけるポイントは、「いいね」や「参考になった」のように他のユーザーのリアクションが可視化されているサービスでリサーチすることです。
そうすれば、消費者の投稿に対して他のユーザーはどの程度共感しているのかも知ることができます。

一対一のインタビュー

消費者へのインタビューを行うのも有効です。その際にはあらかじめ消費者の本音を引き出すための仮説を立てておきましょう。

インタビュー調査には一対一の形式で行うデプスインタビューと、大人数で行うグループインタビューがあります。
消費者が恥ずかしい、言いにくいと感じるような意見を聞きたい場合には、周りからの影響を受けない一対一のデプスインタビューがおすすめです。

行動観察調査

行動観察調査とは、対象者の日常生活などを観察し、その行動から調査分析する手法のことです。エスノグラフィとも呼ばれています。

アンケートやインタビューではわからない無意識下の消費者の行動や心理からインサイトを見つけられるというメリットがあるものの、実施するための手間とコストがかかる、調査員の分析能力に結果が左右される、といったデメリットもあります。

MROC(エムロック)

MROC(エムロック)とは、特定のテーマを定めたオンラインコミュニティを一定期間作成し、その場における参加者の書き込みなどを調査分析する手法です。
「Marketing Research Online Community」の頭文字を取ってMROCと呼ばれています。
この調査の目的は、参加者同士の会話のなかから「知りたいこと」ではなく「知るべきこと」を見つけるところにあります。
一定期間コミュニティを運営することで、よりリアルな声を聞くことができます。

インサイトの分析事例

インサイトマーケティングの実例として、日本全国で定食屋「大戸屋ごはん処」を運営している大戸屋ホールディングスの施策について紹介します。

「大戸屋ごはん処」の店舗の多くは一般的に集客率が高まるといわれているビルの1階ではなく、ビルの2階や地下にあります。

その理由は、同社が多くの女性には定食屋に入るところを人に見られたくない、というインサイトがあることを発見したことにあります。
店の立地などで女性でも入りやすい環境を整えた同社では、多くの女性客を呼び込むことに成功しています。

ニューロマーケティング を用いたインサイト分析

ニューロマーケティングは、脳科学の知見を応用し、脳活動や視線等の生体計測データをもとに消費者心理や行動を分析する新しいマーケティング手法です。

主観的なアンケート評価が中心だった従来型の調査とは異なり、ヒトが意識的にコントロールすることが難しい生体計測データを用いて消費者の無意識や本音を数値化し、客観的に分析できることが特徴です。株式会社NeU(ニュー)ではこのニューロマーケティングを活用したインサイト分析を行なっています。

その一例として、株式会社NeUが公益財団法人 流通経済研究所と共同で取り組んだ商品棚評価の脳科学検証実験をご紹介します。

この実験では商品購入時のヒトの心理過程を解析するために、「NeU-VR 」によるNIRS前頭前野脳活動計測およびアイトラッキングを行いました。実在する食品スーパーをVRを用いて再現し、買い物客にとってどのような売り場がより買いやすいのかを調査することが目的です。実験は「POPによる訴求を行なった売り場」や、「商品陳列を工夫した売り場」などいくつか施策条件を考慮して行われました。

その結果、「POPによる訴求を行なった売り場」が、買い物客の無意識下において、買い物のしやすさに大きな影響を与えていることが示されました。

参考:【共同検証】公益財団法人 流通経済研究所と共同でVR空間内での商品棚評価の脳科学検証を実施

まとめ

商品やサービスが売れない時代といわれている現代においては、新たな需要や市場を生み出すことができるインサイトの発見がビジネス発展の大きな鍵となります。

とはいうものの、インサイトを見つけるための調査分析はどうしても主観的になりがちです。

客観的な方法でインサイトを発見したいのであれば、脳科学を活用したNeUのニューロマーケティングを用いて、マーケティング施策を行なってみてはいかがでしょうか。

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