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Webマーケティングを効果的に行なうためには、ユーザーのニーズをとらえることが重要です。
その手段として用いられるものが「トラッキング」であり、ユーザーの行動などを分析して最適な訴求をすることを可能にします。他にもトラッキングによって得られるデータを有効活用することで、さまざまなメリットが得られます。
この記事では、トラッキングの概要から種類、活用方法、注意点を解説します。
トラッキングとは?
トラッキングとは、英語のTrackingのことで、日本語に訳すと「追跡」や「軌跡」を意味します。Webマーケティングでは、ユーザーの行動などを追跡して情報を得るための手段、または分析方法を指します。
例えば、特定の属性(年齢・性別など)を持つユーザーに印を付け、ページの閲覧や購入などを追跡することで、属性ごとの傾向を把握できます。そのため、トラッキングはWebマーケティングの効果を最大化させるために欠かせません。
Webマーケティングにおけるトラッキングの重要性
Webマーケティングにおけるトラッキングの目的は、マーケティングの効果を最大化することです。そのために、トラッキングでユーザーデータを収集し、分析に活用します。
さまざまなユーザーデータを収集することで、これから実施するマーケティングの効果測定だけでなく、現在実施中のマーケティングの効果を測定できます。
事前に予想したとおりにユーザーが行動しているのか、用意した導線によってコンバージョンにつながっているのか、などもトラッキングによって分析することで見えてきます。そのため、アクセス状況の分析からWebサイトの改善、導線の改善などのあらゆるマーケティング施策のチェックや改善に利用可能です。
実施した施策効果を確認できなければ、最適な対策を施せないため、Webマーケティングにおいてトラッキングは重要視されています。
トラッキングの種類について
トラッキングを実現するための手段はいくつか存在しており、それぞれに特徴が異なります。ここでは、トラッキングの種類として4つの実現手段を紹介します。
最も代表的なものに、Cookie(クッキー)を利用したトラッキングが挙げられます。
Cookieとは、ユーザーがWebサイトにアクセスした際の情報を、ブラウザに一時的に記録しておくためのファイルです。
ログインが必要なWebサイトなどで、ログイン後に一定時間ログインが不要になる理由は、Cookieによって一時的に情報が保存されているためです。
CookieにはユーザーがアクセスしたWebサイトから発行される「ファーストパーティCookie」と、ユーザーがアクセスしたWebサイト以外から発行される「サードパーティCookie」の2種類が存在します。
サードパーティCookieは異なるWebサイトにアクセスしても利用されることから、プライバシー保護の観点から今後は利用されなくなる予定です。
トラッキングではCookieに一時的に保存されている閲覧履歴や購入履歴などデータを活用し、ユーザーの行動履歴などを追跡できます。
広告識別子
広告識別子(Ad ID)は、アプリ内広告でスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を識別するためのIDです。
端末ごとに1つのIDが発行され、Androidであれば「AAD」、iPhone(iOS)であれば「IDFA」、という広告識別子が利用されます。
Cookieはドメイン単位で発行されますが、広告識別子は端末単位で発行されるため、よりユーザーを細かく設定した戦略立案の際などに役立ちます。
また、AAD/IDFAはどちらもさまざまなアプリ間で共通して利用できるIDで、広告配信に利用することが許可されています。
アプリトラッキング
アプリトラッキング(App Tracking)は、モバイル端末のアプリ上のユーザー行動を追跡するための仕組みです。
例えば、アプリを利用する際に「トラッキングを許可しますか?」というようなポップアップが表示されたことがあるでしょう。
これを許可すると、アプリトラッキングが有効化されます。
アプリトラッキングでは、アプリ上のユーザー動向や利用履歴を追跡し、それらのデータを活用してユーザーの興味のありそうな広告を表示することなどに利用されます。
例えば、アプリを使ってスニーカーを購入した場合、アプリトラッキングによってその情報が得られるため、Web閲覧時にスニーカーの広告を表示する、というようなことが実現可能です。
ブラウザフィンガープリント
ブラウザフィンガープリント(Browser Fingerprint)は、Webブラウザの設定や環境情報、利用履歴などからユーザーを識別する情報です。
近年では、プライバシー保護の観点からCookieの取得にはユーザーの同意が必要ですが、ブラウザフィンガープリントは同意なしに取得できるため、Cookieに代わる手段として広まりつつあります。
AndroidとiPhoneにおけるトラッキングの扱い
Android、iPhoneともにデフォルトの状態ではトラッキングが有効になっています。
これはユーザーにより良い体験を提供するためのものですが、無効化することも可能です。
ただし、無効化しても一部のデータは収集されるとされており、完全にトラッキングを無効化することはできません。
Androidのトラッキング設定の確認方法
AndroidではデフォルトのWebブラウザとして、Chromeがプリインストールされています。Chromeを通してトラッキングデータを送信しているため、次の手順でトラッキングの状態の確認・変更を行ないます。
1. Chromeアプリを起動する
2. 「設定」→「プライバシー」を選択
3. 「トラッキング拒否」を選択
4. 設定の有効化(ON)・無効化(OFF)を選択
トラッキング設定は手動で変更できますが、あくまでもトラッキングを拒否するリクエストをWebサイトに送信するかどうかの設定です。
適切に対応されるかどうかはWebサイトによって異なります。
iPhoneのトラッキング設定の確認方法
iPhoneでは、Webブラウザ・アプリでITP(Intelligent Tracking Prevention)と呼ばれる機能が付いています。
トラッキングを防止する機能で、iOS14.5以降はトラッキングに対して許可・拒否を選択するポップアップが出るようになっています。
その他、iOSデバイス解析のためにアプリの使用状況などに関するデータを送信するようになっていますが、こちらは次の手順で無効化することが可能です。
1. 「設定」を選択
2. 「プライバシーとセキュリティ」を選択
3. 「解析と改善」を選択
4. 「iPhone解析を共有」をオフにする
トラッキングデータの活用方法
トラッキングデータは、おもに「データ分析と最適化」「マーケティング戦略への適用」「ユーザーエクスペリエンスの改善」で活用されます。
データを取得する企業側にも提供するユーザー側にもメリットがあるため、それぞれの活用方法について掘り下げていきましょう。
データ分析と最適化
アクセス解析のためにトラッキングを活用することで、ユーザーの行動を分析可能です。ユーザーが何に興味を持ち、どのようなページ遷移をしているのか、などを分析することで、コンバージョン向上に向けた施策を実施できます。
他にも、分析結果をもとにWebページの最適化を行ない、効果的なマーケティング施策につなげるような活用方法もあります。
マーケティング戦略への適用
ユーザーの属性情報などをトラッキングデータとして取得すれば、より的確なマーケティング施策を実施できます。また、広告の効果測定にも利用でき、さまざまなマーケティング戦略への適用が可能です。
トラッキングデータをもとにした「ターゲティング広告」を実現すれば、より効果の高い広告が出稿できます。ターゲティング広告ではユーザーの興味・関心の高い広告が表示されるため、高い費用対効果が期待できるでしょう。
ユーザーエクスペリエンスの改善
ユーザーの行動を分析できることから、アプリやWebサイトなどの操作性を評価する「ユーザビリティテスト」にも活用されます。テストによって得られたデータをもとに、より良いコンテンツを制作することが可能です。
また、ユーザーは自ら検索せずとも興味・関心の高い情報に関する広告などが表示されるため、情報収集の手間が少なくなります。
その他、トラッキングデータによるログイン情報の入力が省略できるなど、利便性の向上が期待できます。
サイトやアプリにトラッキングを設定する際の注意点
トラッキングはさまざまなメリットをもたらしますが、利用する際にはいくつか注意すべき点が存在します。
利用する際にはじめに考慮すべき事項は、プライバシーの保護です。トラッキングデータには、ある程度個人を特定できるような情報が含まれる場合があります。それらを適切に扱う必要があることは、個人情報保護法の存在からもわかるでしょう。
個人情報保護法は2022年4月に改正され、トラッキングのために情報を取得する場合にはその旨を明示し、ユーザーから同意を得なければならなくなりました。
近年、多くのWebサイトでCookieの利用に関するポップアップが表示されることが多いのは、個人情報保護法やGDRP(一般データ保護規則)などの法令を遵守し、実施されているからです。今後はWebサイトだけでなく、アプリの審査にもGDRPの遵守が必要になる可能性があります。
トラッキングを利用する際には、これらの法令に関してもしっかりと理解を深めておくことが重要です。
まとめ
トラッキングは、ユーザーの行動などを追跡して情報を得るための手段・分析方法です。Webマーケティングでは、マーケティング効果を最大化させるためにトラッキングが欠かせません。Cookieや広告識別子などのさまざまな種類が存在しますが、Webサイト・アプリの種類に応じて選択することが重要です。
また、トラッキングを利用する際には、個人情報保護法やGDRPなどの法令を遵守する必要があります。プライバシーの保護には十分に配慮したうえで、データを活用してマーケティングや分析などに利用しましょう。
東北大学と日立ハイテクによる脳科学ベンチャーである株式会社NeUでは、アカデミアや企業研究所出身の専門家による、高度な解析技術を用いたマーケティングリサーチを提供しています。
Web上のトラッキングに現れる以前の視線や脳活動といった、瞬間的な無意識の反応を数値化することが可能です。脳計測をはじめとしたニューロマーケティング調査はもちろん、それらと売上情報などの行動データとの掛け合わせや、オンラインアンケートと組み合わせた複合的な調査など、お客様の知りたい・検証したい情報に合わせた、カスタムメイドのリサーチプロトコル作成、多面的な解析を可能にします。