弊社で取り組んできた食品・飲料メーカー様向けの過去の調査事例についてご紹介いたします。本記事は実際の複数社事例を一般化した形で紹介しています。ただし、各社の機密情報に配慮し、社名は伏せさせていただき、詳細は一般化した形でご紹介しております。ニューロマーケティングの導入を検討されている開発担当の方やマーケ担当の方々の参考になれば幸いです。
クライアント
某大手飲料メーカー
研究背景と目的
忙しい現代人にとって、集中力を維持し、疲労を軽減することは大きな課題です。そこで、日常的に摂取しやすい飲料や食品が、日中のパフォーマンスの向上に貢献する可能性に注目が集まっています。この効果について、アンケートによる主観評価に加え、客観的な生体計測指標を用いた科学的検証を実施しました。
クライアントの課題感
クライアント様において、集中力や疲労度、日中の作業パフォーマンスといった指標をアンケート調査のみで評価することには限界があるという課題がありました。こうした主観的なデータに依存せず、生体計測を活用した科学的エビデンスの取得が可能かどうかが検討の焦点となっていました。
しかし、大規模な実験を実施したものの、「期待した結果が得られなかった」となれば、多大なコストが無駄になってしまいます。こうしたリスクを避けるため、まずは小規模な予備実験を実施し、有効なデータが取得できるかを事前に検証するという方法をご提案しました。
本件では20名程度で予備実験を実施しました。その結果、試験デザインにおいて求めるデータが取得できる可能性が確認できたため、本実験の予算確保へと進むことができました。
本実験における研究手法
■被験者
20歳以上60歳未満の健常な男女150名
■評価サンプル
被験食品:研究対象となる成分を含有する飲料(120 mL/本)
対照食品:研究対象となる成分を含有しない飲料(120 mL/本)
※いずれも1日1本を摂取
■摂取期間
8週間
■使用機器
・脳活動量計測:HOT-2000(株式会社NeU製)
■実験の流れ
被験者を以下の2群に分け、比較検証(ランダム化並行群間比較試験)を行いました。
・介入群:試験成分入り飲料を摂取
・対照群:飲料(プラセボ)を摂取
まず、食品摂取前に被験者を集め、パソコン上で認知課題を実施してもらいます。その際、被験者の頭部には脳活動計測機器を装着し、脳の活動を測定します。認知課題とは、ヒトの認知機能を定量的に評価するためのテストであり、作業記憶・注意機能・抑制機能などの指標に応じて、先行研究をもとに「日中のパフォーマンス」と関連性の高い課題を選定・アレンジして実施しました。8週間の食品摂取後、再び被験者に集まってもらい、介入前と同じ試験を実施します。その結果をもとに、介入群と対照群を比較し、介入前後で認知機能の向上が見られるかを脳活動結果、認知課題のスコアや回答速度を基準に検証しました。

研究成果
本研究の結果、試験成分入り飲料を摂取した介入群では課題中の脳活動及び正答率の向上と反応速度の改善が有意に認められました。これにより、試験成分が作業記憶・注意機能・情報処理速度などの日中の認知パフォーマンスに関与する指標へのポジティブな影響が示唆されました。
まとめ
本事例から、これまでアンケート調査による定性評価に偏りがちだった商品価値を、生体指標と行動指標という定量データによって補完・可視化できる点が示されました。主観での感覚的な評価に対し、数値としての裏付けを加えることで、商品や成分の価値をより整理された形で捉えることが可能になります。これにより、マーケティング戦略の検討や社内合意形成においても、定性と定量を組み合わせた説得力のある説明が行えるようになります。
また、本実験に先立って予備実験を実施することで、測定の実現性やデータ取得の妥当性を事前に確認できました。これは、大規模な投資を伴う検証において「結果が出なかった場合のコストリスク」を抑え、合理的な判断を下すための有効な手段です。
NeUでは、ニューロマーケティングの導入検討段階から、「本当に求めるデータが取れるのか」「どこまでマーケティングに使えるのか」といったご相談にも対応しています。
ご関心をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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