【プレスリリース】重さわずか30gの脳活動計測装置を開発

2018.10.03
2,313
  • share
  • share
  • share

~世界最小・最軽量クラスを実現~

国立大学法人東北大学と株式会社日立ハイテクノロジーズのジョイントベンチャーである株式会社NeU(本社:東京都千代田区、代表取締役:長谷川清、以下、NeU)は、NIRS(※1)を応用した脳活動計測装置として世界最小・最軽量クラス(当社調べ※2)となる重さ30gのセンサー一体型装置(XB-01)を開発いたしました。本装置を装着し、スマートフォンやタブレットにBluetoothでリアルタイムにデータ転送することにより、いつでもどこでも脳の活動状態を計ることを可能としました。

体重や体温などと同様に、日常生活の中で気軽に自身の脳活動を計り、健康や学習に役立てる新たな世界を実現してまいります。

写真: 世界最小・最軽量クラスを実現(重さ30g、厚さ13mm)

XB-01(重さ:30g、大きさ:80×40×13mm)はNIRS技術を応用し、微弱な近赤外光を用いて脳の血流量変化を計測することで、脳の活動状態を可視化します。NeUの前身である日立ハイテクノロジーズからの技術を発展・改良することで、従来機器から大幅に小型化を達成。世界最小・最軽量クラスを実現しました。

従来の計測は、実験室などの統制された環境下での実施が中心となっておりましたが、XB-01は日常生活のさまざまなシーンで手軽に脳計測を可能とすることを目的としております。例えば、家庭環境では、着脱を容易とするバンド型のホルダーを用いて、日々の脳活動を記録。また業務環境では、運送ドライバーの帽子や作業現場のヘルメットに内蔵することで、業務中の脳活動を可視化し、事故防止や生産性の向上に役立てていただくことなどが期待されます。

 

写真: スマホやタブレットで手軽に脳活動を確認

本機器は、ヒトの思考や短期的な記憶に関連する部位として知られている前頭前野(額の直下に存在)を主な計測部位と想定しております。しかし個人差の大きい頭部形状に機器をフィットさせることが、設計上の課題となっておりました。この課題を解決するため、XB-01は厚さ13mmの超薄型サイズを実現し、さらに本体が中央で折れ曲がる「バタフライ型」デザインを採用しております。これは、額のカーブの個人差に適応するための工夫となります。

XB-01はリチウムイオンバッテリーを内蔵し、約3時間の連続使用が可能です。また、本体内に6軸加速度センサーを内蔵しており、頭部の動きの検知や、体動などによるノイズを検出します。脳活動の計測に加えて、複数のパラメーターを組み合わせることで、今までにない計測指標の創出、精度の向上が期待できます。

写真: 額のカーブの個人差に適応したバタフライ型デザイン

 

■想定される活用シーン

XB-01の「いつでもどこでも脳活動を計れる」という特徴を活かして、下記のようなさまざまなソリューションを提供してまいります。

a)認知機能トレーニング

従来、認知機能トレーニングは、脳の健康維持に寄与することが明らかとなっています。近年、認知機能トレーニング中に前頭前野の活動が高いほど、その後の認知機能向上効果も高くなることがわかりました(※3)。XB-01を使用することにより、NeUが提供する最新型認知機能トレーニングでは、トレーニング中に前頭前野の活性化レベルをリアルタイムにモニターすることができます。それにより、ユーザーがその日の体調にあわせて前頭前野に負荷をかけ続けることができるプログラムを選択できる「個別最適化認知トレーニング」(※4)を世界で初めて提供します。

また、認知トレーニング中の前頭前野活動をリアルタイムでモニターし、より脳活動を上げようと内的(精神的)な努力をすることで、ニューロ・フィードバック効果(※5)が生じ、より高い認知機能向上効果も期待できます。

 

b)運動+認知機能トレーニング

有酸素運動を行ったあとには、神経細胞の成長因子である「BDNF(脳由来神経栄養因子)」が分泌されることが知られています。有酸素運動と認知機能トレーニングを組み合わせてプログラム化することで、より効果的な認知機能トレーニングが期待できます。

XB-01では、血流量の変化を計測するという特性上、脳活動だけではなく、心拍数のモニター機能を備えており、有酸素運動時の運動負荷の定量化が可能です。本機能を活用し、適度な負荷の有酸素運動と認知機能トレーニングの組み合わせを、ワンパッケージで提供します。

写真: 有酸素運動と認知機能トレーニングを組み合わせたプログラムを提供

 

c)ストレスコーピング

自身の前頭前野の活動をリアルタイムでモニターし、それを自分で内的(精神的)にコントロールするトレーニングを継続すると、主観的なストレス度が下がり、ストレスホルモンであるコルチゾール濃度も低下することが明らかになっております(※6)。XB-01を活用することで、家庭や職場で手軽に脳活動をコントロールするストレスコーピングトレーニングが可能となり、ストレスの軽減やセルフコントロール力の向上が期待できます。

 

d)学習

学習中の脳活動レベルを学習者にさりげなく提示することにより、学習者は自身の集中度を客観的に知ることができ、集中力や記憶力を高める効率的な学習法や環境整備法を自ら発見することの支援を行うことができます。学生はもちろん、仕事の生産性向上を望むビジネスマンや企業にも適用いただけると考えております。

 

e)IoH(※7)への活用

日常的な場面・環境で脳活動をモニタリングし、クラウドにデータ収集・解析を行うことで、たとえばドライバーや作業従事者の脳の負荷状態を記録し、適度な休憩を促すなど、安全性や生産性向上をはじめとした、さまざまな社会課題への貢献が期待できます。

 

■発売時期

XB-01は、2018年11月から企業向けの限定的な先行出荷を開始し、12月末より一般消費者向けに販売を開始する予定です。

今後NeUでは、自社のみならず多様なパートナー企業と連携し、XB-01を活用した豊富なアプリケーションを提供するサービスを展開してまいります。サービスの詳細等につきましては、2018年10月16日より開催の「CEATEC JAPAN 2018」にて公表いたします。

XB-01は、上記「CEATEC JAPAN 2018」にて展示を予定しております。実際に手に取って、各種アプリケーションを体験いただけるコーナーをご用意しておりますので、ぜひご来場ください。

NeUでは今後も、脳科学を活用し、人々のクオリティ・オブ・ライフの向上を目指して活動を続けてまいります。

 

※1 NIRS(Near Infra-red Spectroscopy)

※2 2018年9月末時点での日本・北米および欧州市場で一般的に公表されているNIRS脳計測機器との比較

※3 東北大学の研究成果より

※4 2018年8月1日付当社ニュースリリース(脳活動をリアルタイムに測りながら鍛える 新世代脳トレ「ExBrain(エクスブレイン)」を発売)

【プレスリリース】脳活動をリアルタイムに測りながら鍛える 新世代脳トレ「ExBrain(エクスブレイン)」を発売

※5ニューロ・フィードバックとは、自分の脳活動をリアルタイムにモニターすることで、意識的に脳の活動を調節するために利用される手法の総称です

※6 東北大学と株式会社日立制作所の共同研究成果より

※7 Internet of Human

 

<株式会社NeUについて>

会社名 : 株式会社NeU(ニュー)

東北大学の認知脳科学の知見と、日立ハイテクノロジーズの携帯型脳計測技術を軸に2017年8月に設立

所在地 : 東京都千代田区神田司町2-2 新倉ビル

代表者 : 代表取締役 長谷川 清

資本金 : 3億5,900万円

事業内容: 脳科学の産業応用事業

URL   : https://neu-brains.co.jp/

 

本リリースのPDFはこちらからご覧ください。 →

20181003_NeU_press_XB-01

  • share
  • share
  • share