企業が取り組むべき高齢ドライバーの事故防止対策5選|リスク管理と具体的な方法を解説
「最近、社内の高齢ドライバーのヒヤリハットが増えてきた…」
「万が一、重大事故が起きたら会社の責任はどうなるんだろう…」
企業の安全運転管理者や労務担当者として、このような不安を感じていませんか?
近年、国や自動車メーカー、そして企業の努力によって、交通事故による死亡事故の件数自体は減少傾向にあります。しかし、その一方で「高齢者の交通事故は相対的に高い状況」が続いており、多くの企業にとって喫緊の課題となっています。事故は企業の信頼を失墜させ、甚大な損害をもたらすだけでなく、従業員の安全を守るべき「安全配慮義務」を問われる経営リスクにも直結します。
本記事では、なぜ高齢ドライバーの事故が減らないのか、その根本原因をデータと共に解き明かし、企業の管理者が今すぐ取り組むべき具体的な事故防止対策を5つのステップで詳しく解説します。
「なぜ高齢ドライバーの事故は減らないのか?
損保出身コンサル × 認知症予防専門士が語る、事故リスクと認知機能の関係」
での講演内容をもとに構成しています。
損保・交通リスクの現場で長年、高齢運転者や企業の事故削減に向き合ってきた中井氏だからこそ語れる、「事故が減らない理由」と「企業が押さえるべき実務上のポイント」を、実践に活かしやすい形でまとめました。ご希望の方は、下記フォームより必要事項をご入力ください。入力後すぐに、ウェビナーアーカイブ動画の視聴URLをお送りします。
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MS&ADインターリスク総研株式会社にて長年、交通リスクコンサルティングに従事。運送事業者や企業の社有車を対象に事故削減のための調査・指導を行い、国土交通省認定セミナーの講師も歴任。現在は独立し、交通コンサルタントとして高齢運転者の安全や認知機能維持の取り組みを推進。
なぜ今、企業に高齢ドライバーの事故対策が求められるのか?
対策の必要性を理解するために、まずは「なぜ高齢ドライバーの事故が後を絶たないのか」という現状と、企業が負うべき責任について確認しましょう。
【データ①】増え続ける高齢従業員とドライバーの実態
まず、企業を取り巻く環境として無視できないのが、働く高齢者の増加です。セミナーで示された内閣府のデータ(令和7年版高齢社会白書)によると、2024年の予測では65歳〜69歳の就業率は53.6%に達し、10年前と比較して13.5ポイントも上昇しています。これは、もはや企業の従業員の半数以上が65歳を過ぎても働き続ける時代が来ていることを示唆します。
さらに、運転免許保有者全体に占める65歳以上の割合は24.6%、つまり「ドライバーの4人に1人が高齢者」という状況です。これらのデータから、企業において高齢従業員が運転業務を担う機会は、今後ますます増えていくことが明らかです。
【データ②】年齢と共に急増する死亡事故のリスク
高齢ドライバーの事故は、本当にリスクが高いのでしょうか。これもデータが明確に示しています。免許人口10万人当たりの死亡事故件数を全年齢平均と比較すると、そのリスクの高さが浮き彫りになります。
- ・全年齢平均:2.87件
- ・65歳~69歳:3.18件
- ・70歳~74歳:2.92件
- ・75歳~79歳:4.19件
- ・80歳~84歳:5.67件
- ・85歳以上:9.75件
※令和6年版交通安全白書より抜粋
75歳を境に事故件数が全年齢平均を大きく上回り、85歳以上では9.75件と、全年齢平均の約3.4倍にまで跳ね上がります。この背景には、セミナーで専門家が指摘する「安全不確認」「前方不注意」「判断の誤り」といった、加齢に伴う「認知機能」の変化と密接に関わる要素が存在しているのです。
事故発生時に問われる企業の「安全配慮義務」とは
従業員が業務中に事故を起こした場合、企業は使用者責任だけでなく、安全配慮義務を問われる可能性があります。これは、企業が従業員の安全を確保できるよう必要な配慮をする義務のことです。
これだけのデータがある中で、加齢による心身の変化を認識しながら何ら対策を講じなかった場合、この義務を怠ったとして企業の責任が追及されるリスクは決して低くありません。
明日からできる!高齢ドライバーの事故防止対策5つの具体策
では、企業は具体的にどのような対策を講じればよいのでしょうか。ここでは、明日からでも取り組める5つの対策をご紹介します。
対策①:運転リスクの「見える化」- 認知機能・身体機能の定期チェック
事故防止の最大の鍵は、「チェック体制を機能させること」です。セミナーでも強調させていただいたように、認知機能の変化は「本人が気づきにくい」という大きな特徴があります。自分では「いつも通り」運転しているつもりでも、客観的に見ると能力に変化が生じているのです。だからこそ、企業側が客観的な指標でリスクを「見える化」し、本人に気づきを促す仕組みが不可欠です。
- ・定期的・簡易的な認知機能テストの実施: スマートフォンアプリなどを活用し、年に1〜2回、判断力や注意力といった運転に必要な認知機能をチェックする。
- ・運転機能測定ツールの活用: ドライビングシミュレーターなどで、実際の運転に近い状況での反応速度や危険予測能力を測定する。
対策②:個々に合わせた運転指導 – 同乗評価と客観的フィードバック
管理者が助手席に同乗し、実際の運転状況を確認する「同乗評価(添乗指導)」も有効です。一時停止の見落としや車間距離の詰めすぎなど、運転の癖を具体的に指摘し、改善を促します。この際、一方的に注意するのではなく、対話を通じて本人の気づきを促すことが重要です。
対策③:テクノロジーの活用 – ドライブレコーダーや運転測定ツールの導入
ドライブレコーダーの映像は、客観的な事実として運転状況を振り返るための優れた教材になります。急ブレーキや急ハンドルといった危険運転行動のデータを記録・分析できるサービスを導入すれば、よりデータに基づいた安全指導が可能です。
対策④:無理のない業務体制の構築 – 業務内容の見直しや交代制の検討
従業員の年齢や健康状態に応じて、運転業務の内容を見直すことも検討しましょう。
- ・長距離運転や夜間運転を避ける
- ・若手社員とのペア業務や交代制を導入する
- ・運転業務から内勤業務への業務変更を柔軟に検討する
本人の希望も尊重しながら、安全に働き続けられる環境を整えることが、企業の責務です。
対策⑤:意識改革のための社内啓発 – 健康・認知症予防の重要性を周知
事故防止は、個人の問題だけでなく、会社全体の安全文化を醸成することが重要です。セミナーでも提案されていたように、企業ができる支援は多岐にわたります。
- ・健康増進プログラムの提供: 全従業員を対象としたウォーキングイベントや、脳トレアプリの導入を会社として支援する。
- ・メンタルヘルス支援の実施: 加齢による変化への不安などを気軽に相談できる「相談窓口」を設置する。
- ・社内啓発活動の実施: 認知症予防や健康維持の重要性に関するセミナーや研修を定期的に開催し、全社的な意識を高める。
対策を進める上での注意点|従業員の理解を得るための伝え方
認知機能や加齢に関する話題は非常にデリケートです。対策を進める際は、従業員のプライドを傷つけないよう、伝え方に最大限の配慮が必要です。
重要なのは、「能力低下の指摘」ではなく、「安全に、そして長く活躍してもらうための健康サポート」というポジティブなメッセージとして伝えることです。「会社として皆さんの健康と安全を第一に考えています」という姿勢を示すことで、従業員の協力と理解を得やすくなります。
まとめ:高齢ドライバー対策は「見えにくいが重大」なリスクへの備え
今回のセミナーの結論として、最も心に留めておくべきは「高齢従業員の運転リスクは『見えにくいが重大』」であるという事実です。本人が自覚しにくい認知機能の変化が、ある日突然、取り返しのつかない事故につながる可能性があります。
そのリスクを管理し、未然に事故を防ぐためには、「管理職が現場の安全文化をつくる」という強い意志が何よりも重要です。まずは、客観的なデータに基づいて現状を正しく把握し、できることから対策を始めていきましょう。
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